地域経済動向調査に関する調査結果について
1.アンケート実施概要
◆調査目的:
本調査においては、経営者から寄せられた声を手掛かりに、地域経済の動向を総合的に把握し、小規模事業者が自社のビジネスモデルの強化に向けた「事業計画」を策定するための基礎的資料としての活用を図る。また、今年度も引き続き新型コロナウイルス感染症による影響を調査する。
◆調査対象:卸・小売業、製造業、建設業、サービス業の4業種(各業種約20事業所)。
◆調査対象企業の規模:
製造業は従業員数5~30人の事業所。建設業は従業員数10人以下の事業所。卸・小売業、サービス業は従業員数5人以下の事業所。
◆調査実施期間:2023年8月 ~ 2023年9月
◆調査方法:
境町商工会の職員が調査対象企業を訪問・面接によりアンケート式調査を実施。調査票は、商工会の会員企業の中から、小規模事業者を中心に事業規模(業種ごと町内企業の標準規模)を重視し地域の実情に合わせて選定する。
2.調査結果の要約
『コロナ禍からの回復基調にあるが来期は製造業を除き回復度合いが減速する見通し。経費関係項目を問題点として挙げる企業が引き続き多い。』
①全業種の業況判断DI は、コロナ禍からの回復が進み、今期▲18.8(前期▲36.3、前々期▲43.8、3期前▲63.8)と改善基調にはあるが引き続きマイナス圏にある。来期(今後)は、▲8.8とさらに改善が進む見通し。
②業種別の業況判断DIは、他の業種に比べて卸・小売業の回復が遅れていること、来期は製造業を除き回復度合いが減速する見通しであることが見て取れる。
③経営に関する調査結果
経営に関すること(1.経営方針の明確化、2.外部環境の把握、3.自社分析、4.商品開発・販路開拓)については、「自社分析(3.7)」は引き続き高い水準にあり、「商品開発・販路開拓(2.9)」や「経営方針の明確化(3.0)」の水準は相対的に低いという傾向は、前回までの調査とほぼ同様である。
財務に関すること(1.売上等の把握、2.損益分岐点の把握、3. 数値目標や計画を設定、4.資金管理)については、前回調査と同様、「売上等の把握(3.8)の水準が高く、「資金管理(2.2)」が低い。前回低下が目立った「目標設定(2.8)」は低下したままである。
人材に関すること(1.人材育成、2.法定福利厚生、3.社内ルールの整備、4.社員の経営参画)については、これまでと同様、全体的に低い水準にある。とくに「人材育成(2.2)」の水準が低い点も変わっていない。
業種別では、これまでの調査と同様、製造業の水準が高い。なお、サービス業の水準低下が目立ち、これまでの卸・小売業に変わり最も低い業種となっている。
④設備投資件数は、減少が目立ち、今期27件である(前期41件、前々期50件)。内訳の上位は「販売・生産設備」と「OA機器」が7件となっている。また、来期の設備投資の予定は39件(前期における来期見込みは41件であった)となっている。
⑤経営上の問題点(回答社数に対する比率)は、「仕入価格・材料価格の上昇(71.3%)」、次いで「仕入原価・材料費・人件費以外の経費の増加(41.1%)」であり、物価高騰が長期化し、仕入れ高・経費増が経営を圧迫している様子が見て取れる。
また、コロナ影響項目(「営業日/時間の縮小」「イベント中止」「出張(移動)/出社規制」「休業」「仕入れ困難」「流通障害」)を挙げた企業は13.8%(前期27.5%、前々期46.3%)とさらに減少している。
コロナ影響項目が減少し、経費関係項目を問題点として挙げる企業が、前年に引き続き多くなっているのが特徴といえる。