地域経済動向調査に関する調査結果について2024
1.アンケート実施概要
◆調査目的:
本調査においては、経営者から寄せられた声を手掛かりに、地域経済の動向を総合的に把握し、小規模事業者が自社のビジネスモデルの強化に向けた「事業計画」を策定するための基礎的資料としての活用を図る。前年まで行っていた新型コロナウイルス感染症による影響調査は今回は行わない。
◆調査対象:
卸・小売業、製造業、建設業、サービス業の4業種(各業種約20事業所)。
◆調査対象企業の規模:
製造業は従業員数5~30人の事業所。建設業は従業員数10人以下の事業所。卸・小売業、サービス業は従業員数5人以下の事業所。
◆調査実施期間:
2024年9月 ~ 2024年11月
◆調査方法:
境町商工会の職員が調査対象企業を訪問・面接によりアンケート式調査を実施。調査票は、商工会の会員企業の中から、小規模事業者を中心に事業規模(業種ごと町内企業の標準規模)を重視し地域の実情に合わせて選定する。
2.調査結果の要約
『コロナ禍からの回復が一服し、停滞気味の状況。経費関係項目を問題点として挙げる企業が引き続き多い。』
1.全業種の業況判断DI は、今期▲21.3と、コロナ禍からの回復が進んだ前回調査(▲18.8)から若干悪化している。来期(今後)は、▲12.5と改善の見通し。
2.業種別の業況判断DIは、卸・小売業は改善、サービス業で横ばい、建設業と製造業で悪化している。来期は建設業を除き改善する見通しである。
3.経営に関する調査結果
経営に関すること(1.経営方針の明確化、2.外部環境の把握、3.自社分析、4.商品開発・販路開拓)については、これまでの調査と同様、「自社分析(4.0)」は高い水準にあり、「商品開発・販路開拓(2.8)」や「経営方針の明確化(3.1)」の水準は相対的に低い。
財務に関すること(1.売上等の把握、2.損益分岐点の把握、3. 数値目標や計画を設定、4.資金管理)については、前回調査と同様、「売上等の把握(3.9)の水準が高く、「資金管理(2.4)」が低い。近年低下している「目標設定(2.9)」は依然として低下したままである。
人材に関すること(1.人材育成、2.法定福利厚生、3.社内ルールの整備、4.社員の経営参画)については、これまでと同様、全体的に低い水準にある。例年同様、とくに「人材育成(2.3)」の水準が低い。業種別では、これまでの調査と同様、製造業の水準が高い。
4.設備投資件数は、今期48 件と増加している(前期27 件、前々期41 件、3 年前調査50 件)。内訳の上位は「販売・生産設備」と「車両・運搬具」がいずれも12 件となっている。また、来期の設備投資の予定は35 件(前期における来期見込みは39 件であった)となっている。
5.経営上の問題点(回答社数に対する比率)は、「仕入価格・材料価格の上昇(72.5%)」を上げた企業が前回調査同様、最も多い。「仕入原価・材料費・人件費以外の経費の増加(37.5%)」も引き続き問題視する企業が多く、仕入れ高・経費増が経営を圧迫している状況が続いている。
なお、「需要の停滞(売上減少、客数減)(42.5%)」を挙げる企業が若干増加している(前期38.8%)。経費関係項目を問題点として挙げる企業が、引き続き多いのが特徴といえる。